2025.10.22
FRAGMENTS
私は物質に記憶が宿ることに関心を持っている。
写真が過ぎ行く瞬間を定着させるように、物質もまた、時間の経過や出来事をその身に刻み込んでいる。
今回の作品では火災現場の跡地で拾い集めたガラス片や金属片を撮影した。それらは炎の熱によって変形し、消火による冷却の過程で独特の歪みやひずみを伴いながら固まっている。ガラスの内部には塵や破片が閉じ込められ、それ自体が火災と火災前の記憶を物理的に保存しているかのようだ。
これらの物質が記録しているのは火災そのものだけではない。火災前にこの場所で営まれていた人々の生活風景や光景の痕跡も含まれている。それらは、破壊された事実だけではなく、その前に存在していた豊かな日常を想像させる装置のように感じられる。
これら物質を写真で再表現することにより、物質に内包された記憶や見えない時間を新たな視点で浮かび上がらせ、観る者に過去の生活や出来事を再考させる試みを行った作品になります。
※ 2024年1月1日、石川県能登半島地域でマグニチュード7.6の地震が発生。輪島市では地震による火災で観光地として有名な朝市が全焼した。本作に使用したガラス片や金属片は、その跡地で拾い集めたものである。























